2010年6月25日金曜日
オアハカで“のだめ的”映画を見る “Orfeu Negro(1959)” en El Pochote
メキシコ・オアハカのセントロにあるシネクラブ『El Pochote』。
ここ、毎日異なる映画が何と “タダ” で見られるのです。
オアハカ中心地には『素敵なお金の使い方をする金持ち財団』が運営している美術館・博物館・図書館・映画館・文化センターなどが沢山あり、なおかつどれもその建築やグラフィックなどのセンスが抜群に良くて好きです。
このミニ映画館 El Pochote(エル・ポチョテ)へは、旅でオアハカ滞在中に通っていたのですが、ある日鮮烈に記憶に残る映画『Orefu Negro』(1959年公開、フランス・ブラジル・イタリア合作)に出会ったのです。
映画のあらすじは端折りますが…とてもおもしろい映画です。
大まかにはベタな(無理のある)悲恋物語です。しかし2010年の現在、1959年制作のこの映画の全体的なチープさがたまらなく愛らしく感じてしまうのです。
途中途中で起こる唐突な展開。死神が出てくるわ、原始宗教儀式で突然おばちゃんの口寄せがあるわ…と忙しいです。
一番たまげたシーンは…主人公の男性オルフェが自らのミスで感電死させてしまった愛する女性ユーリディスの亡骸を抱きファヴェーラに戻ると、怒り狂った元婚約者のミラが割とデカい石をオルフェ目がけて投げつけます。それがオルフェの頭に直撃ドーン!!よろめいたオルフェは崖に足を踏み外し、ユーリディスの亡骸とともに真っ逆さま〜。足はクネクネ、勢いよく崖の巌にぶつかりながら転がる明らかな人形2体のその様が「のだめ」の人形使いを彷彿。やばいわ〜と私のなかでのこの映画の位置づけが確実なものになった瞬間でした。
しかし、この映画決して失笑なシーンばかりではないですよ。
なにしろ、Antônio Carlos Jobim が音楽を手がけてます。オルフェがギターを弾いて唄うシーンでは口パク、バックですばらいしいAntônio Carlos Jobimのギターと歌声が流れます。ほかにも今ではディズニーのエレクトリカルパレード化してるという噂のリオのカーニバルも手作り感たっぷりの衣装や山車、生バンドの様子も見れます。単純に半世紀前のリオの町並みや人々を見るだけでも興味深いものです。映像人類学的に見応えがあってすばらしい映像だなと。
主人公2人が死んでも映画は悲劇的なまま終わらず、サンバ音楽に合わせて子供らの激しいダンスで終わるというなんとも幸せなラストシーンににんまりしてしまう。遺伝子的にラテンリズムが染み付いてるんだろうな〜と大感心しつつ、『いいな〜こういう雰囲気〜』と完全に映画に入り込んでました。
普段はこれってものが無い限り映画館はめったに行きませんが(特に日本は映画が高いので…)、旅してると映画館に行って見たくなるのです。主に暇つぶしが目的なのですが、そこで意外に収穫がある時もあるんですよね。
El Pochoteでは映画上映だけでなく、トークショーやワークショップなどのイベントもあるみたいです。以前はAkira Kurosawaウィーク的なものがあったり、また、邦画もちょこちょこ上映されてるようです。
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