オオトモマキからの “超個人的” 情報発信トポス

布は傍らで語る〜

脳の襞を増やすべく、この度ボケ防止的に新たにスタートです。旧「布は傍らで語る」ブログ(2009.10~2010.05)もやってました。
昨今は日本←↓↑→メキシコ行ったり来たり。
超私的な好みでアンテナにひっかっかったメキシコや日本の物事柄を綴っていければと目論んでます。

*ここに紹介されている情報(展覧会やイベント情報、はたまた所在地など)は、月日とともに、知らぬ間に、中止や変更があるかもしれません。
ですので、お出掛けの際には今いち度ご自身で情報確認されることをおすすめしまっす!

2010年7月26日月曜日

刑務所リノベート空間 Centro de las Artes, San Luis Potosí



前回紹介したように、メキシコには古い工場や建物を文化施設として新たに改築するパターンが多いように思います。
建築には全く詳しくないのでイメージで話を進めますが…スペイン植民地時代からのヨーロッパ式重厚な建物のおかげで、外枠は長持ちする?からなのか…は分かりませんが、昔のかっちょいい建築物の保存にもなりますしすごくいいと思うのです。

そこで、今回はサン・ルイス・ポトシ州の中心地から少々歩いた所に在る、またまた文化センター:Centro de las Artes, San Luis Potosí を紹介します。
タイトルにもありますが、ここは元・州の中央刑務所だったそう。
前情報なしで足を運んだのですが、「ここは刑務所みたいだしなー。」と外観のその重高い壁にあわや通りすぎてしまうところでした。


しかし、中へ入るとそこは美しいすてきな空間。
メキシカン・ピンクの壁に囲まれた中庭的なエントランス。周囲はアートギャラリーやショップです。
芸術文化センターなので、習い事?をしに施設を利用している若者がちらほらいましたが、ここもまた至って静寂に包まれてます。
おそらく、この手のモノが私の好みの空間なんだろうな。
条件=“ 新旧の混在 ”


帰ってきてから気になってGoogle Mapってみて感動。
正方形内に8本の棟がきれーに収まっているー。素直にすげーっ!て、人間の建築における英知を感じたのです。


その8棟はそれぞれテーマ別っぽく分かれた芸術施設になっている様子。各々の棟をざっと見たかんじでは、陶芸クラスが催されてるらしく、屋外で作品乾燥中でした。演劇とかダンスのクラスもある模様。展示開催されるギャラリーや美術館、映画の上映も行われ、図書館も設置されているらしい。
建物内もいいのですが、棟と棟の間にはすべて違った庭があってとても心地よい風が通ってます。
音楽スタジオの棟の庭では、壁に囲まれた静寂の中でレッスン中のクラシックギターの音色が聞こえて…まるで天国のようだ〜。
大げさに聞こえますが…そういう空気があるのですよ。


いま考えると刑務所の名残がところどころというかモロにあって、かつての様子を想像するのもひとつの楽しみ方かと思います。
音楽スタジオも元・独房?とか。

この施設の歴史や模型を展示していた小部屋があったのですが、そこに織機や製糸作業中の古い写真があったので、てっきり元・織物工場だったのかと踏んでいたのですが…。説明を読まず決めつけてたのに反省しつつ、刑務所内労働として織物製造してたのか?とさらに勝手に想像します(今度ちゃんと真実を調べるということで)。



にしても、Xilitlaに行く通過点のつもりでサン・ルイスに滞在したのですが、思いのほか存分に満喫したのです。
中心地には他に現代美術館マスク博物館などもあるし、ふらっと入ったLa Casa del Artesano(民芸品ショップ)ではHuastecaのカゴ類の質の高さとデザインの豊富さも知ることができましたし、fonart のショップはシティのショップよりも地域色がでていておもしろかったし。今回は主に都市部とXilitlaが目的だったのですが、次回はもっとディープなところに突っ込んでいかねば。

ホームページの左下にスペイン語以外の言語への変換機能もあるので参照してください。
日本語のものはもちろん、想像力・謎解きを要します!

2010年7月15日木曜日

織物工場リノベート空間  Centro de las Artes de San Agustín Etla


5月にメキシコ・オアハカ州滞在中、爽やか〜な風吹く丘にある芸術センター:CaSa (Centro de las Artes de San Agustín Etla ) へ行ってきました。

オアハカ中心地からそれほど遠くないのですが、のどかな空気が漂うサン・アグスティン・エトラ村。
その丘に建つ CaSa は、1883年にスペイン人起業家が創立した製糸・織物工場をリノベートした芸術施設です。
元々の工場名が La Soledad, Vista Hermosa (孤独、美しい風景)というだけあって、静かで見晴らし抜群。気持ちよい場所でした。
見学中は撮影スイッチが入ってしまい…もりだくさんの画像とともに CaSa を紹介したいと思います。


CaSaには織物・版画・写真・紙・デジタルグラフィック・陶器のアトリエ、また作品展示スペースや図書館、アーティストレジデンスのためのアトリエなどが入っています。ここではさまざまなアートクラスやワークショップ、イベントが行われるらしいのですが、私が訪問したタイミングには陶を使った2作家の展示の他に催しやクラスはなかったようで、運営・管理してる人が数名しかいない様子。そしてお客さんもちょろっと。ひとの活気みたいなものは一切なかったですが、そのおかげで独り占め感を堪能しながらゆっくりじっくり見学できました。


織のアトリエが開放されていたので侵入。
もちろん誰も作業はしてません…織物作家さんにしてみれば、こんな明るくて広くて夢のようなアトリエ〜ってかんじでしょう。


半屋外のようになっている展示スペース1では、Brigette Pénicaudさんの陶芸作品たち。


上階へ移動すると、恐ろしく広い展示スペース2には Gustavo Pérezさんの陶芸作品たち。
これでもかってぐらいに大量の作品が惜しみなく展示されていて、回顧展のような多種多様さと規模すら感じる。それにしても、ここ工場使用の空間だから仕切り無し・壁面が少ない。なので平面作品の展示は大変だろうなー。天井とかも工場まんまの様相ですけど…それがとてもカッコイイのですが、これがまた素材感強いなー。



当時使われていた織機や糸でしょう。かつては200台もの織機があったとのことです。


主要建物の中は、上記のようなアトリエ群(陶のアトリエは1km離れた別の場所)と展示スペース、図書館など。離れにはレジデンススタジオの棟、またちょっと集落側へ降りて行くと紙のアトリエもあります。ランチタイム?だかで紙漉き作業は見れなかったけど、紙をアクセサリーに加工している作業やそれらを販売してるショップなんかもありました。


メキシコでは、ここみたいに年季の入った建物を改装し、新たな文化施設として再利用するというケースが多い気がします。そういった空間独特の、ノスタルジックな部分と現代的にリノベートした部分との心地よい混在が CaSa にもあり、そんな空間に身を置くとクリエイティブな環境について、または芸術振興なんてことについても考えさせられたりとアドレナリンが脳に噴出!おかげでとっても充実した時間を過ごせたのでした。


アクセス:オアハカ中心地・セカンドクラスのバスターミナル近くからSan Agsutín行きのタクシーに乗車。終点から徒歩すぐ。

2010年7月1日木曜日

体験!ジャングルのシュールな建築群  Las Pozas de Xilitla


以前(旧)ブログで、憧れの地として紹介していたメキシコ、サンルイス・ポトシ州、キリトラにあるラス・ポサス(San Luis Potosi, Las Pozas de Xilitla)。
有言実行!ということで、そのジャングルにそそり立つエキセントリック・シュールレアリスム建築群を体験してきました。


山道をトポトポ歩き到着したそこには…
異質な雰囲気を放っているコンクリートの建築・オブジェがジャングルに点在する「庭」でした。

エキセントリックじいさんこと:Edward Jamesのシュール(?)な世界が入口から始まっています。


モリモリとした植物たちと白黒ボーダーのデカいムカデの多さに驚きビビりつつ。どこまで続くのか〜くらいに迷路のような園内をひたすら歩き回ります。おっちゃんは竹が好きだったのか?リアル竹林があり、さらにオブジェとしても竹モチーフの柱群がありました。仙人のような彼がこの前で撮影した写真もあるしな。
エッシャーのだまし絵のようでもあるこの建築たちには登ることも出来るのですが、場所によっては老朽化が激しいので十分気をつけなければなりません。



大きなスケールでの彼の作品はあまり好みではなかったのですが、見過ごしてしまいそうな片隅にあった「小作品たちの庭」はとても良かったです。おそらく建築物の一部や素材だったり、余ったコンクリから作った?葉っぱのオブジェなど。何気なく配置されたような所も見る者の想像をかき立てます。
全体的にカラフルなものを想像していたのだけれど、実際の多くはコンクリート生色がほとんどです。植物の蒼さとコンクリの廃れ具合がとても調和していて、建築当時の状態よりも今の時を経た状態の方がかっこいいに違いない。年齢を重ねていくほど味が出てくるタイプかと思います。

いくつあったか思い出せないくらいにかなりの数の建築物がありました。
ここにもある!ここにもまた!みたいな探検気分にも浸れます。
しかし、実際に体験してみて…建築「物」としての興味というよりも、やはりなぜ彼は『ここ』に『これら』を作ったのかという点の方が気になるな。
その答えは見つかりませんでしたが、このジャングルで独りコツコツ作業していた彼の姿を想像して、にやけてしまった。その至福(苦悩)は想像を越えるんだろうなと。アーティストならではのマゾ精神みたいな。


Las Pozasが小さなこの村唯一の観光名所なのですが、山腹に建つ民家や階段坂、日曜のティアンギス(定期市場)など。この村(人)のゆったりとした空気もけっこう好きです。マニアックな欧米人旅行者に人気があるのか?州都にいたときよりも見かけた気がする。

あと、Xilitla村はライチの産地らしく、おそろしく旨いライチが1kg=15ペソで買えます。
日差しが強く、ムシムシと暑いこの村で食べるその甘〜いライチの味が忘れられません。地元の人は道端でライチを買ってその場で食べるので、もちろん道のそこいら中にライチの皮と種が捨てられてます。
*1月の訪問時にはライチの影すらなく…夏期限定のようです。

Las Pozasを体験できたことはもちろんのこと、予想外のライチとの出会い。
バスでクネクネ山道を6時間近く…ほんとに行った甲斐がありました。



Las Pozas de Edward James
y/o Jardín Escultórico de Edwaedo James

*Mexico D.F. 北バスターミナルからJalpan(Primera Plas)、乗り換えてXilitla(Vencedor)。Las Pozasは村の中心から徒歩約30分。

*2011年1月に再訪しました。D.F.Terminal norteからTequisquiapan (COORDINADOS): 30分に1本と頻繁に出てます。乗り換えてXilitla (COORDINADOS): 9:00、11:00のみ。帰路はXilitlaからD.F.に乗り換え無しで帰れる (COORDINADOS): 7:30、9:30、21:30。トータルで約9時間かかります!