オオトモマキからの “超個人的” 情報発信トポス

布は傍らで語る〜

脳の襞を増やすべく、この度ボケ防止的に新たにスタートです。旧「布は傍らで語る」ブログ(2009.10~2010.05)もやってました。
昨今は日本←↓↑→メキシコ行ったり来たり。
超私的な好みでアンテナにひっかっかったメキシコや日本の物事柄を綴っていければと目論んでます。

*ここに紹介されている情報(展覧会やイベント情報、はたまた所在地など)は、月日とともに、知らぬ間に、中止や変更があるかもしれません。
ですので、お出掛けの際には今いち度ご自身で情報確認されることをおすすめしまっす!

2010年12月21日火曜日

古き良き時代への誘い〜地質学博物館 Museo de Geología


ここぞとばかりに怒濤の美術館・博物館廻りに勤しむ今日この頃ですが…
このひろ〜いメキシコにはまだまだ知らない良い美術館・博物館が数多にあるのかしら、と思うと沸々と興奮するのです。もはや、食通たちが毎日の食事をブログで記録・公表する気持ちがよく分かります。しかし、ここではなるべく、なるべくメジャーなガイドブック(特に日本のメキシコ観光本)には載ってないようなマイナーな情報を漏らすのが意義なのだと密かに思いつつ、私感もりだくさんでこれからも続けていきたいと思います。

Museo de Geología: 地質学博物館です。
小規模な博物館でしたが、これぞ古き良き学問全盛時代の歴史!!っていう重厚な建築と展示物、はたまた展示ケースにやられました。


メキシコの地層から発見された鉱物や化石、また諸外国の化石や恐竜の骨などが主な展示物です。
博物館の内部はリノベーションされているのでこぎれいなのですが、鉱物や化石の展示ケースがもの凄くアンティークなのが印象的。ここのオリジナルのケースだと思うのですが、木製のケースはてっぺん部の細かいレリーフが凝っていたり、ガラスのアーチ型ケースは金属脚のデザインが凝っていたり。展示されてる内容物よりも、完全にこちらの方に気が取られた次第です…。


マニアにはたまらないのだろうあらゆる鉱物や化石たちがこれでもかってくらいにその素敵なケースに並べられています。


鉱物・化石マニアではない私ですが、しかしこの地球にはほんとうに色んな鉱物が存在してるんだな〜と感心してしまう。普段のほほ〜んと生きていてもコンクリートジャングルでは確実にお目にかかれない“石”がほとんどだし。

入館した時に中学校の社会科見学かで中学生であふれていたのをいいことに、拝観料を払わずにふら〜っと入ってしまった、すみません…。

Museo de Geología
月曜休館 10:00-17:00
拝観料:一般15ペソ、学生10ペソ

2010年12月16日木曜日

白く・まぶしく・かっこよく、生まれ変わった現代美術館 Museo Universitario del Chopo


ああ、またお気に入りの美術館がひとつ増えました。
実際その場所に身を置き、事前情報での想像を越えた時に訪れる感動と興奮。どれだけ二次元的情報が発達したとしても、現実にその場を体感することにはかなわないですね、やっぱり。
もちろん想像が現実を越えてがっくりさせられることも多々あるけれど。

今回そんなことを改めて感じさせられたのは Museo Universitario del Chopo という現代美術館です。
企画展のひとつに松井みどりさんがキュレーションした展示が現在やっているとの情報をゲット!今回初めて行って来たのですが、展示作品がうんぬんというよりも美術館の建築空間にほれぼれしてしまったのです。ああ、スタイリッシュ。しかしどこかノスタルジー。
館内撮影禁止だったため、ネット上での画像を拝借しつつ紹介。


どうやら、もともとは1902年に展示場空間として建築された建物で、土台はかなり古いようです。が、2006年から改装工事を経て、今年2010年5月に再オープンしたてのピカピカ美術館だった!ということは行ってから知ったのでした。
1階フロアは四方が吹き抜けになっていてかなり開放的な展示空間。しかも、磨りガラスの大きな窓から自然光が入ってきて心地よい明るさです。


2階、3階フロアにギャラリーがあり、こちらの空間もいい感じです。現在は2階では近代から現代メキシコ絵画の企画展示。3階では松井みどりさんキュレーションの日本若手現代美術作家数名の絵画、インスタレーション、映像作品が企画展示されています。

ギャラリーの他にもMacが並ぶインフォメーションコーナーがあったのですが何やらまだ機能していない様子。
1階にはミュージアムショップ、地下1階にはカフェテリアの表記もありましたが、共にまだオープンしてない…。
むむむ、このあたりの付属施設もしっかりすればもっと集客があるんのでは…と心配してみる。滞在1時間半の間に私の他にお客さん4人しか見なかったしな。
ミュージアムショップ好きな私としては是非に早期のオープンを期待します。


こちら、UNAM(メキシコ国立自治大学:ラテンアメリカ最大規模の総合大学)管理の美術館のひとつ。かつてはMuseo de Historia Natural (自然歴史博物館) としても使用されていた空間。
現在は美術展示の他にも演劇や音楽コンサートやワークショップも開催されてるようです。
あと同時期に、これまた日本人の「紙ロボ」アーティストTomohiro Yasuiさんの展示も。
この美術館、ちょうど日本ずいてる時期だったのかしら。


松井みどりキュレーション:
Jardín de Invierno.
El micropop en el arte contemporáneo japonés

2010年12月8日 — 2011年3月2日

Museo Universitario del Chopo
Dr. Enrique Gonzales Martinez 10, Col. Santa Maria la Ribera
*メトロ、メトロバスRevoluciónから徒歩5分
月曜休館:10:00-19:00
入館料:一般30ペソ、学生15ペソ

2010年12月10日金曜日

うらやましすぎる旅人生 〜兼高かおる旅の資料館レポート Museo de Los Viajes de KAORU KANETAKA


ひさびさの投稿にもかかわらず…今年の夏に訪れた日本・淡路島『兼高かおる旅の資料館』についてです。
メキシコと無関係かと思いきや、意外にもありしたよ、おもしろネタが。


この資料館を知るまで兼高かおる氏については全く存じてなかったのですが、旅・旅・旅の人生のようで実にうらやましい限りです。そんな150ヶ国以上を旅してきた彼女が収集した民族・民俗品の数々や、取材時の写真などが展示されているのがこの資料館です。それらの展示物はさほどおもしろくなくて、一見よくある資料館としてスルーしてしまうお客さんがほとんどかと思うのですが、私的にはつっこみどころ満載でした。


当然、メキシコも旅されてたようですが…その時の写真が衝撃的すぎます。
マヤ文明遺跡でもっとも有名なツェツェン・イツァーのチャックモールに同じ様な格好して横たわってます。チャックモールとは生け贄の心臓を神にささげるために置いていた台なんですけど…しかもレプリカじゃなくてオリジナルなんじゃないかな、これ。時代なんでしょうね、今こんなことしたらすごく怒られるだろうな。そして、ビジャエルモサにあるオルメカ文明の巨大人頭像の横で記念撮影する兼高さん。なぜか左方向を指差し、より目です。なんでしょうこのポーズ。
他の国々での取材写真も一筋縄ではいかないレポーターぶりを発揮していました。兼高さんの人柄なのか、取材の演出なのかは謎ですが、おそらくチャーミングな方で純粋に世界の国々を楽しみたいっていうエネルギーに満ちている方なのではないかと勝手に想像。


資料館入ってすぐ、ジャングルでの取材風景と編集作業をする兼高さんを人形で再現したコーナーがあるのですが、それもすごい。なぜこの風景を再現したのかが謎です。加えて、資料館終盤に設置されている映像コーナー。昭和時代の人々が思い描いていた“未来”の映像装置ということでしょうか…無駄にまん丸なものが6台設置されていて、見たい国のボタンをポチッと押すとその国の紹介映像が流れるという、いたって普通です。この装置、i-Padと交換したら現状より電気代かからないとか…と考えてみる。個人的にはこのドラえもんみたいな丸いかんじをこれからも維持していってほしいですけど。
いいなーこの時が止まってる感。

さて、この資料館は淡路ワールドパークONOKOROというテーマパーク内にあるのですが、この資料館以外にも不思議なものがいっぱいでした。


「遺跡の世界」、シュールなメキシコの戦士の像と巨大人頭像発見です。この2つ、そういえば伊豆シャボテン公園にもあった気がします。
他にも世界の歴史的建築物のミニチュアや、遊園地的な乗物もいくつか。しかし、奥の小山でヘリコプター1台がやたら離着陸を繰り返しているので緊急事態かなにかかと観察していたのですが、どうやらここ、ヘリ遊覧を体験できるらしいです。10分くらいのミニ遊覧ですが体験しなかったのがいまさら悔やまれます…。

どういうタイミングでか、兼高さんが今年に入っていろいろメディアにもでているらしいので。
http://natalie.mu/owarai/news/41818
上品なおばあさまという感じですが、いまでも旅を続けているそうです。
このバイタリティ見習わせていただきまっす。
あ、ONOKOROパークも家族ずれが多く、いたってピースフルな空気が流れてました。淡路島に行かれた際はぜひ。

2010年11月8日月曜日

死者の日、再会の旅2010 in チアパス州 Día de Muertos en Ciapas



あー、寒い。ここ数日のメキシコ・シティは天気が良いにも関わらず、すっかり真冬(メキシコレベルで)のような気温の低さに身体が震えます。暖房器具を基本的に使用しないこちらでは、日中の日向はまるで天国のよう〜。にしても、屋内は日中も寒いっす…冷え性な私はキーボード打つ指もカチカチに凍えてます。

と、こんな突然の寒波 (?) に入る前の先週、11月1・2日は、死者の日でした。
いわゆるお盆みたいな日で、亡くなった先祖や家族たちがこの世に戻ってくる日。そこで、墓場に親戚一同赴き彼らをお迎えしてつかの間の再会を果たす。というほぼ日本の「お盆」と同じ習慣がメキシコにもあるのです。
特に先住民の人々が多く暮らす地域では、その伝統行事がいまでも色濃く残っています。

そんな日に…5ヶ月前にチアパスを放浪していた時に出会い、よくしてもらった人たちに再び会いに行ってきました。



冒頭の女の子の衣装でお分かりの方も居ると思いますが、いち家族はサン・フアン・チャムラ:Chamula に暮らすツォツィル族:Tzotzilの家族です。もちろん事前に連絡する手段などないので、突撃で再訪した訳ですが無事に再会を果たせ、つかの間のあたたかな時間を過ごしたのであります。しかも、こちらのママに会ってそうそう、『ラジオで日本で大洪水があって死者が出たってニュースが流れてたよー。あなたの事考えてさー、死んでしまったかなーって思ってたよー。』と言われ…死者の日にふさわしい?訪問者となったのです。

親戚との行事ということもあるので、彼らの墓参り同行はずうずうしいなと判断。なので、翌日ひとりでお墓の様子を見てきました。この村では日中に親戚とともに食べ物(タマレスなど)や飲み物(炭酸飲料か酒)を持参し、墓の周囲に花やロウソクなどお供えし、座り込んで祈り、話しかけ、歌い、そして食事するというのが一般的なようです。人にもよると思いますが、墓場でおよそ1時間くらいそうして過ごすことがこの死者の日のメインのようです。上の画像 (よそから拝借)で、通常の墓場と死者の日時の墓場を比較してみました。私が見たときの墓場は、右画像の様子よりもマリーゴールドの花が大量に飾られていてもっと華やかでした。

今回も “ヨネスケ、突撃!隣の晩ご飯” 的なかんじ…で突撃訪問にもかかわらず、手作りタマレス(トウモロコシの粉からつくった蒸しパン的:もっとハード:なもの。中身は豆)やアトーレ(トウモロコシ原料の発酵飲料)もすかさずご馳走になる。サン・アンドレス・ララインサール:Larraínzar の家族のときも、再会の余韻ほどなくしていきなり茹でたチャヨーテ (芋系の野菜)を渡されたし、続いて出された牛干し肉が添えられた野菜スープ!がめちゃくちゃに旨かったのです。そこでも手作りタマレスとアトーレをいただき、家庭の味三昧。昔から人の家のご飯って旨く感じるって思ってたけど、やっぱりメキシコでもそう感じるのです。


チャムラ家族もララインサール家族も子供らがちびっ子なのもたのしい。
チャムラの男の子らと、山裾の草原でサッカーしたり、柔道ごっこしたり、かけっこしたり。そんでもってビー玉遊び!メンコ遊び級です。適当に並べた数個のビー玉に、一差し指ではじいたビー玉を当てていくというやつ。土門拳の写真で見るような戦後の子供らの遊びではないかっ!と変な興奮を覚えつつ、仲間に入ってみるとその単純なおもしろさに驚きです。大人げなく1人勝ちしてしまった…。ちびっこ達がなついてくれたのをいいことに、自分の年齢を忘れ本気で遊んだもんだからもちろん翌日は筋肉痛そして腰痛です。しかし、たのしかったな〜。
と、短時間でしたが再び私を迎えいれてくれ充実したときを過ごさせてもらったことに本当に感謝なのです。
行って来たばかりにも関わらず、もう次はいつ行けるかと考えてしまう…

この両村に行くときにはサン・クリストバル:San Cristobal de las Casas を起点に動いています。
この街、観光地としても有名ですが、いろんな意味で濃い街だなと思います。この街の色んな側面の中で、ここで私が記述する側面としてはアート系かと勝手に思うところなので…

Taller Leñateros

サンクリにある紙の工房です。
単純にここのポストカードの版画やシルクのデザインが好きっていうだけなんですけど。
工房へはまだ訪ねていないですが、ショッピングだけなら中心地に直営のショップがあるのと、他いくつかの土産物屋にも置いてあるみたいです。2011年度のカレンダーがかっこ良かったのですが…ちょい高めな値段に渋ってしまい購入せず、今回は日本への手紙用にポストカード数枚購入のみ。

あと、いつになったらサンクリにマヤ・テキスタイル美術館:El Museo del Textil Mayaが完成するのかな〜って気になる。物はあるけど、金がない…みたいな状態?なのか2000年にプロジェクトが発足してからいまだカタチ現れず、動きがないようです。メキシコの中でもチアパス州は染織品の宝庫中の宝庫。大量の貴重な染織品がINAHプロジェクトで管理整理されて公開されるようになるなんて、そりゃ期待してしまうじゃないか。
何年後になることやら、気長に待ちたいと思います。

2010年10月15日金曜日

“理想”という名のパステレリア PASTERERIA Ideal


今週末までソカロで開催中のFeria Internacional del Libro (ブックフェア) を冷やかしたのですが、今回掘り出し物は特になし。代わりに…アインシュタインのポートレイトが売っていたので、10ペソで購入したのです。

フェリアを後にした私が寄り道したのは PASTERELIA Ideal (パステレリア・イデアル=ケーキ屋・理想)。
メキシコ・セントロをうろついていると、やけにこのデザインのデカイ箱や包みを持ってる人々を見かけます。特に土日。
その箱や包みにはヒモがかけられていて、それをつまみながら歩くメキシコ人たち。なんだかレトロな感じがして好きです。

で、なにかというと…“理想”という名のケーキ屋なのですが、わたしの場合はパンやクッキーがお目当て。
ひろ〜い店内にパンやケーキやクッキーがずらり。主にパンを買いにくる人が多いみたいですけど、いっつーもお客で満ちてるイメージがあって、パン屋として類いまれなる活気。
パンに関してはそれほど街中のパン屋と品揃え・味ともに変りないですけど、クッキーはなかなかの多種類・カワイさ・歯触り感・安価!なので好みです。手土産的な使い方もできますしね〜。
クッキーは200グラム/500グラム/1キロから選んで、クッキー棚を見ながら店員さんに『これっ』って指示して箱に数枚づつ入れてもらいます。チョコ/ジャム/アイシング/生クリーム/ごま?味など…カタチもいろいろ。見た目と味は素朴ですけど、サクサク感に差があって楽しめます。というか、すごくサクサクです。
今日購入分だと、500グラムで20〜25枚(種類にも因りますが)で30ペソ!



▲ホームページから拝借。創業当時の写真でしょうか。

ここ、1927年創業とのこと。
老舗の看板で人が絶えないのでしょうね。

セントロにはAv. 16 de SeptiembreとUruguayにあります。
Idealの包みを持ってセントロを歩くのって、メキシコ的“粋”ってことになる…て勝手に思ってます。

2010年9月26日日曜日

遺跡内に建つ、エネケン繊維工場見学! 〜 製糸編 〜  Una fábrica de henequén dentro de la ruina Aké


前回、紹介した〜繊維抽出編〜に続き、エネケン繊維から糸玉になるまでの〜製糸編〜です。


日光に晒し乾燥・漂白された繊維の束を、繊維の方向を揃えて機械に通し、スライバー状態にしています。
この製糸作業においても引き続き、産業革命時代かと見紛う年代モノの機械たちがフル作動!


スライバー状になった繊維は、さらにミニカーダー機械を通って余分な細かい繊維が削がれていきます。糸にするための太さに整えられた繊維はクルクルと撚りをかけられて単糸の状態に。

その後、単糸同士でさらに撚りかけされて糸玉へと完成です!



スライバーから単糸にする段階のミニカーダー部分がものすごーく興味深い、というかこれを世に言う “ 機械萌え”というやつなのか!?おもしろすぎて見飽きない!そこ、個人的にはすごく紹介したいのですが、何も言われなかったけどおそらく企業秘密ということもあるだろうと気を使い…ここでは個人の思い出にしておきます。

さて、henequén:エネケンはメキシコにおいては古くから自生しているリュウゼツラン科の植物です。大昔には衣服の素材としても使用されていた記録がありますが、19世紀後半にアメリカの農機具を扱う企業がユカタン州のエネケンを買い占め、hacienda:アシエンダ(農場や工場)を大量に創設しエネケンを栽培、加工していました。それによってユカタンはかなりの利潤を得ましたが、後に化学繊維の普及によってエネケン栽培は衰退し、アシエンダも閉鎖。現在、メキシコで「アシエンダ」と言えば、かつて使われていた建物をリノベートした田舎にある“エキゾチック(?)リゾートホテル”のイメージがあります。見学した工場も遺跡内にある元アシエンダの廃墟?を一部使用してました。

アシエンダが衰退した現在でも、エネケンはユカタン州の特産物として細々と残っているようです。
エネケン繊維100%のハンモックが売り!と街の土産物屋のおっちゃんが見せてくれましたが、どう見てもあの硬い繊維100%でこの細さと柔らかさは不可能だろう…と。見学した工場のおっちゃん達もハンモックの素材になっていると言ってましたが、謎のまま。次回はちゃんと、ハンモック素材へ使用されている別のエネケン繊維製糸工場を見学しなければ。工場見学と繊維を見たがぎりではロープとしての使用が無難な気もしましたが、まだ隠されたエネケン繊維による繊細な糸や布があるかもしれない!と期待しています。

ユカタン州メリダを旅行で訪れて、エネケン工場を見学したいという人はまず少ない(というかいない)と思いますが…
念のため、アクセス情報。

*Mérida中心地からTixcocobまでコレクティーボ。Tixcocobでmototaxi(バイクタクシー)のおっちゃんと交渉してAké遺跡にあるhenequén工場まで連れてって、そして待ってて、そして戻ってくれーと頼む。私が頼んだおっちゃんは2時間ほどで100ペソ。工場の人と「親戚の〜はあなたの親戚の〜とつながりがある」とかローカルネタで話が弾んでたな。工場見学は、撮影代として40ペソ納めました。

2010年9月17日金曜日

ひと晩限りのスペクタクルは… Bicentenario Independencia d México



ああ、個人的には特に盛り上がらない行事である9月16日の独立記念日。
今年は独立から200周年!そんでもって革命から100周年!って…国の力と金の入れようが半端じゃないという噂は聞いてましたが、昨晩のソカロ(日本で言うと国会議事堂前的な?)での『VIVA MEXICO』雄叫びまでのスペクタクルが凄すぎて、なんだかんだで普通にたのしんでしまいました。

マスコミ、身近な人々の意見、そして私的な見解も含めてなのですが、昨晩の『祭』を単純に心から祝い・喜ぶという空気は想像以上に薄かったな〜と感じました。初めてソカロでのグリートを生体験したけれど、鳥肌立つほどの群衆エネルギーは感じなかったしな。『メキシコの新たな誕生』とか『誇るべき我が国・メキシコ』的スローガンがアナウンスや司会者から何度も発せられてたけど、そこに集まっていた人々の反応は冷静。カルデロン大統領が『ビバ・メヒコ』と国立宮殿から国旗を掲げながら叫び、それに続いて群衆もリピートするのですが、思いのほか叫んでない人も多かったのも事実。そして必死になって叫んでいた人がいたのも事実。
近くにいたおばちゃんと娘が『ビバ〜!』と叫んでる顔を客観的に凝視してしまい…ああ、『国家』って一体何なんでしょうね。

政治的な側面は置いといて…
バルーン・ファイヤーに花火・人文字・プロジェクションなどの最新技術?もりもりのスペクタクルによって『素晴らしきメヒコ』を表現したイベント。わたしのお気に入りは、メキシコのシンボル=緑・白・赤(メキシコ国旗の3色)のノパル(ウチワサボテン)のフィギュアを頭にくっつけた黒子たち。ゆるすぎます。白いノパルって…赤いノパルって…無理矢理すぎます。
私がこのイベントに参加するのであれば、迷わずこのノパル集団として!と考えてました。

白は絶対嫌ですけど。





あと、この祭の日にル・クレジオ(Jean Marie Le Clézio)が Orden del Águila Azteca(ワシ・アステカ勲章)なる受賞のために来墨していたことを知りましたー。

新聞記事:
La Jornada 『El Águila Azteca a Rigoberta Menchú, Jean Marie Le Clézio y William F. Austin』

1967年から数年間メキシコに滞在。インディオの村に身を置きながらミチョアカン報告書の翻訳に従事していた彼。今福さんの『荒野のロマネスク』に、その当時のクレジオの様子が書かれていて、私にとってそこから得た彼の印象はとても崇高なものでした。昨年の11月の東京大学での講演会にはわんさか人が来ていたなー。溢れた人は別講堂で中継での聴講だったのだけど、講演終了後にそちらにも顔を出してくれて挨拶・質疑応答に応じてくれました。
やっぱり、常にそういう『態度』でいれる人。
そういう人を信じていたいし、自分もそうでありたいと思うのです。

と、ビセンテナリオからは話がずれましたが…
色んな意味でたのしかった〜 “オフィシャル” でのメキシコ独立200周年記念式典でした。

2010年9月3日金曜日

遺跡内に建つ、エネケン繊維工場見学! 〜 繊維抽出編 〜  Una fábrica de henequén dentro de la ruina Aké


だいぶ昔(2010年5月)のことになりますが…メキシコ・ユカタン州の州都メリダ(Yucatán, Mérida)に滞在中、ここ周辺がエネケン: henequén の栽培とその繊維から抽出した糸によるハンモック生産が有名と聞き、現場を見なくてはと。
ある小さな工場に突撃見学!してきました。


この工場は、マヤ文明の遺跡のひとつAkéの内に建っていました。
建ってるというか、この工場と思われる建物自体も遺跡か?!ってくらいに古い建物。かろうじて「囲い」的に壁が残っている内側に、これまた古い繊維抽出の機械が置かれていました。
何年前の機械だったかは忘れましたが…糸撚・製糸機械も含めて全部年季の入ったものでイギリス製らしい。ここは産業革命時代か!と度肝を抜かれましたが、こういうのは嫌いではない。っていうかむしろ好きです。欧米諸国人たちが工場見学に団体でよく来るのだそうですが、ドイツ人たちは他国の人々に比べてなぜかこの古〜い機械にものすごく感動していくというおまけ話も。



まず、エネケンの葉から繊維以外のものを取り除くための繊維抽出機械。
おそろしく高速回転しているベルトの間に葉が吸い込まれ、繊維以外のものが削り取られカスとなり下に落ちる→繊維だけの状態になって出てくるという仕組み。作業しているおっちゃん達はなんてない感じで作業してたけど、高速回転ベルトの爆音とカスの飛び散りがすごい。かなり勇気を出して機械に近づき、撮影したのです。


抽出された繊維束を隣接した乾燥場に移動して乾燥させます。
日光に数日晒し、繊維の青みが取れて生成色になります。
この乾燥場の横には抽出時に出た大量のカスも山にして置かれていました。
こちらは乾燥させて鶏などの家畜のエサにするとのことでした。

次回は〜製糸編〜をリポートします。

2010年7月26日月曜日

刑務所リノベート空間 Centro de las Artes, San Luis Potosí



前回紹介したように、メキシコには古い工場や建物を文化施設として新たに改築するパターンが多いように思います。
建築には全く詳しくないのでイメージで話を進めますが…スペイン植民地時代からのヨーロッパ式重厚な建物のおかげで、外枠は長持ちする?からなのか…は分かりませんが、昔のかっちょいい建築物の保存にもなりますしすごくいいと思うのです。

そこで、今回はサン・ルイス・ポトシ州の中心地から少々歩いた所に在る、またまた文化センター:Centro de las Artes, San Luis Potosí を紹介します。
タイトルにもありますが、ここは元・州の中央刑務所だったそう。
前情報なしで足を運んだのですが、「ここは刑務所みたいだしなー。」と外観のその重高い壁にあわや通りすぎてしまうところでした。


しかし、中へ入るとそこは美しいすてきな空間。
メキシカン・ピンクの壁に囲まれた中庭的なエントランス。周囲はアートギャラリーやショップです。
芸術文化センターなので、習い事?をしに施設を利用している若者がちらほらいましたが、ここもまた至って静寂に包まれてます。
おそらく、この手のモノが私の好みの空間なんだろうな。
条件=“ 新旧の混在 ”


帰ってきてから気になってGoogle Mapってみて感動。
正方形内に8本の棟がきれーに収まっているー。素直にすげーっ!て、人間の建築における英知を感じたのです。


その8棟はそれぞれテーマ別っぽく分かれた芸術施設になっている様子。各々の棟をざっと見たかんじでは、陶芸クラスが催されてるらしく、屋外で作品乾燥中でした。演劇とかダンスのクラスもある模様。展示開催されるギャラリーや美術館、映画の上映も行われ、図書館も設置されているらしい。
建物内もいいのですが、棟と棟の間にはすべて違った庭があってとても心地よい風が通ってます。
音楽スタジオの棟の庭では、壁に囲まれた静寂の中でレッスン中のクラシックギターの音色が聞こえて…まるで天国のようだ〜。
大げさに聞こえますが…そういう空気があるのですよ。


いま考えると刑務所の名残がところどころというかモロにあって、かつての様子を想像するのもひとつの楽しみ方かと思います。
音楽スタジオも元・独房?とか。

この施設の歴史や模型を展示していた小部屋があったのですが、そこに織機や製糸作業中の古い写真があったので、てっきり元・織物工場だったのかと踏んでいたのですが…。説明を読まず決めつけてたのに反省しつつ、刑務所内労働として織物製造してたのか?とさらに勝手に想像します(今度ちゃんと真実を調べるということで)。



にしても、Xilitlaに行く通過点のつもりでサン・ルイスに滞在したのですが、思いのほか存分に満喫したのです。
中心地には他に現代美術館マスク博物館などもあるし、ふらっと入ったLa Casa del Artesano(民芸品ショップ)ではHuastecaのカゴ類の質の高さとデザインの豊富さも知ることができましたし、fonart のショップはシティのショップよりも地域色がでていておもしろかったし。今回は主に都市部とXilitlaが目的だったのですが、次回はもっとディープなところに突っ込んでいかねば。

ホームページの左下にスペイン語以外の言語への変換機能もあるので参照してください。
日本語のものはもちろん、想像力・謎解きを要します!

2010年7月15日木曜日

織物工場リノベート空間  Centro de las Artes de San Agustín Etla


5月にメキシコ・オアハカ州滞在中、爽やか〜な風吹く丘にある芸術センター:CaSa (Centro de las Artes de San Agustín Etla ) へ行ってきました。

オアハカ中心地からそれほど遠くないのですが、のどかな空気が漂うサン・アグスティン・エトラ村。
その丘に建つ CaSa は、1883年にスペイン人起業家が創立した製糸・織物工場をリノベートした芸術施設です。
元々の工場名が La Soledad, Vista Hermosa (孤独、美しい風景)というだけあって、静かで見晴らし抜群。気持ちよい場所でした。
見学中は撮影スイッチが入ってしまい…もりだくさんの画像とともに CaSa を紹介したいと思います。


CaSaには織物・版画・写真・紙・デジタルグラフィック・陶器のアトリエ、また作品展示スペースや図書館、アーティストレジデンスのためのアトリエなどが入っています。ここではさまざまなアートクラスやワークショップ、イベントが行われるらしいのですが、私が訪問したタイミングには陶を使った2作家の展示の他に催しやクラスはなかったようで、運営・管理してる人が数名しかいない様子。そしてお客さんもちょろっと。ひとの活気みたいなものは一切なかったですが、そのおかげで独り占め感を堪能しながらゆっくりじっくり見学できました。


織のアトリエが開放されていたので侵入。
もちろん誰も作業はしてません…織物作家さんにしてみれば、こんな明るくて広くて夢のようなアトリエ〜ってかんじでしょう。


半屋外のようになっている展示スペース1では、Brigette Pénicaudさんの陶芸作品たち。


上階へ移動すると、恐ろしく広い展示スペース2には Gustavo Pérezさんの陶芸作品たち。
これでもかってぐらいに大量の作品が惜しみなく展示されていて、回顧展のような多種多様さと規模すら感じる。それにしても、ここ工場使用の空間だから仕切り無し・壁面が少ない。なので平面作品の展示は大変だろうなー。天井とかも工場まんまの様相ですけど…それがとてもカッコイイのですが、これがまた素材感強いなー。



当時使われていた織機や糸でしょう。かつては200台もの織機があったとのことです。


主要建物の中は、上記のようなアトリエ群(陶のアトリエは1km離れた別の場所)と展示スペース、図書館など。離れにはレジデンススタジオの棟、またちょっと集落側へ降りて行くと紙のアトリエもあります。ランチタイム?だかで紙漉き作業は見れなかったけど、紙をアクセサリーに加工している作業やそれらを販売してるショップなんかもありました。


メキシコでは、ここみたいに年季の入った建物を改装し、新たな文化施設として再利用するというケースが多い気がします。そういった空間独特の、ノスタルジックな部分と現代的にリノベートした部分との心地よい混在が CaSa にもあり、そんな空間に身を置くとクリエイティブな環境について、または芸術振興なんてことについても考えさせられたりとアドレナリンが脳に噴出!おかげでとっても充実した時間を過ごせたのでした。


アクセス:オアハカ中心地・セカンドクラスのバスターミナル近くからSan Agsutín行きのタクシーに乗車。終点から徒歩すぐ。

2010年7月1日木曜日

体験!ジャングルのシュールな建築群  Las Pozas de Xilitla


以前(旧)ブログで、憧れの地として紹介していたメキシコ、サンルイス・ポトシ州、キリトラにあるラス・ポサス(San Luis Potosi, Las Pozas de Xilitla)。
有言実行!ということで、そのジャングルにそそり立つエキセントリック・シュールレアリスム建築群を体験してきました。


山道をトポトポ歩き到着したそこには…
異質な雰囲気を放っているコンクリートの建築・オブジェがジャングルに点在する「庭」でした。

エキセントリックじいさんこと:Edward Jamesのシュール(?)な世界が入口から始まっています。


モリモリとした植物たちと白黒ボーダーのデカいムカデの多さに驚きビビりつつ。どこまで続くのか〜くらいに迷路のような園内をひたすら歩き回ります。おっちゃんは竹が好きだったのか?リアル竹林があり、さらにオブジェとしても竹モチーフの柱群がありました。仙人のような彼がこの前で撮影した写真もあるしな。
エッシャーのだまし絵のようでもあるこの建築たちには登ることも出来るのですが、場所によっては老朽化が激しいので十分気をつけなければなりません。



大きなスケールでの彼の作品はあまり好みではなかったのですが、見過ごしてしまいそうな片隅にあった「小作品たちの庭」はとても良かったです。おそらく建築物の一部や素材だったり、余ったコンクリから作った?葉っぱのオブジェなど。何気なく配置されたような所も見る者の想像をかき立てます。
全体的にカラフルなものを想像していたのだけれど、実際の多くはコンクリート生色がほとんどです。植物の蒼さとコンクリの廃れ具合がとても調和していて、建築当時の状態よりも今の時を経た状態の方がかっこいいに違いない。年齢を重ねていくほど味が出てくるタイプかと思います。

いくつあったか思い出せないくらいにかなりの数の建築物がありました。
ここにもある!ここにもまた!みたいな探検気分にも浸れます。
しかし、実際に体験してみて…建築「物」としての興味というよりも、やはりなぜ彼は『ここ』に『これら』を作ったのかという点の方が気になるな。
その答えは見つかりませんでしたが、このジャングルで独りコツコツ作業していた彼の姿を想像して、にやけてしまった。その至福(苦悩)は想像を越えるんだろうなと。アーティストならではのマゾ精神みたいな。


Las Pozasが小さなこの村唯一の観光名所なのですが、山腹に建つ民家や階段坂、日曜のティアンギス(定期市場)など。この村(人)のゆったりとした空気もけっこう好きです。マニアックな欧米人旅行者に人気があるのか?州都にいたときよりも見かけた気がする。

あと、Xilitla村はライチの産地らしく、おそろしく旨いライチが1kg=15ペソで買えます。
日差しが強く、ムシムシと暑いこの村で食べるその甘〜いライチの味が忘れられません。地元の人は道端でライチを買ってその場で食べるので、もちろん道のそこいら中にライチの皮と種が捨てられてます。
*1月の訪問時にはライチの影すらなく…夏期限定のようです。

Las Pozasを体験できたことはもちろんのこと、予想外のライチとの出会い。
バスでクネクネ山道を6時間近く…ほんとに行った甲斐がありました。



Las Pozas de Edward James
y/o Jardín Escultórico de Edwaedo James

*Mexico D.F. 北バスターミナルからJalpan(Primera Plas)、乗り換えてXilitla(Vencedor)。Las Pozasは村の中心から徒歩約30分。

*2011年1月に再訪しました。D.F.Terminal norteからTequisquiapan (COORDINADOS): 30分に1本と頻繁に出てます。乗り換えてXilitla (COORDINADOS): 9:00、11:00のみ。帰路はXilitlaからD.F.に乗り換え無しで帰れる (COORDINADOS): 7:30、9:30、21:30。トータルで約9時間かかります!