メキシコでは食品などに比べ、相対的に考えて書籍の価格がちょいと高め?と感じます。
加えて同じ本でも本屋によってその値段が大きく違うことも日常茶飯事でして、欲しい本をいかに安く手に入れるかということは私にとってとっても重要です。東京で言う神保町的な古本屋街、または古本屋通り的な場所として強いて言えば!ソカロちょい北にあるDonceles通り、またはD.F.南方のMiguel Angel de Quevedo通りなどがそれに当たるかなと思うのですが、品揃えや価格などいまいち。欲しい本が見つかったためしがなく、でもって偶然の良い出会いも未だなし。
そんな私がここぞとばかりに本を仕入れに行くタイミングが、定期的に開かれるFeria de Libros:ブックフェアです。
D.F.で毎年開かれている大規模なものをいくつかあげると…
Feria de Libro Antropología e Historia
Museo Nacional de Antropologíaで行われるブックフェア。2010年は9/23-10/3に開催
Feria Internacional de Libro en el Zócalo
ソカロで行われるブックフェア。2010年は10/8-10/17に開催
Feria Internacional de libro del Palacio de Minería
Palacio de Mineríaで行われるブックフェア。2011年は2/23-3/3に開催中!!
ということで、現在行われている Feria Internacional de libro del Palacio de Minería に行って来ました。
上に紹介したフェリアは大規模ですが、出展している大手の出版社や大学や研究機関ははっきり言ってほとんど同じです。ですが、一般的に売られている価格よりも平均10~15%は値引きされている“傾向”がある(なぜか高くついてる場合もあるのでご注意を)ことと、普段シティでは手に入りづらい地方の機関がブースを出しているのは足を運ぶ価値のひとつではないでしょうか。最近出版されたものはもちろんですが、たまに売れ残り?かけっこう古い資料が手に入ることもあって、掘り出しものもあるのです。
そして、出展しているのは書籍だけではないのがまたおもしろい。
昨年のソカロのフェリアで思わず買ってしまった…アインシュタインのプロマイドを販売していた「コスモス・ブース(勝手に命名)」が昨日のフェリアにも出展していたり、地方の先住民支援機関がグッズを売っていたりもします。
で、やっと本題に入りますが…
EL RENACER DEL MAYAB A.C.というマヤ地域(Chiapas, Campeche, Yucatán, Quintana Roo州)の経済的に貧しい子供たちを支援している団体のブース。そこで見つけた子供たちが描いたマヤの世界を紹介したカードの絵がすごいエネルギーを放っていた!
上:“Casando un venado” : 鹿狩り
下:“El Haab año solar maya” : マヤ太陽暦 El Haab
左:“Guerrero maya” : マヤの戦士
右:“El retrato del rey Pakal” : 王Pakalの肖像
マヤの歴史や文化に関係するような事物が絵のモチーフとなっていて、カードの裏にはそのモチーフの簡単な説明がスペイン語、マヤ語、英語、フランス語で書かれています。
その極彩な色使いや力強い線とフォルム、そして妙にシュールだったりする背景がもの凄くヒット。
中でも一番のお気に入りが↓の “Chac-Mool” : チャックモールです。マヤの最大遺跡であるチェチェン・イツァで発見された彫像なのですが、かつて行われていたマヤの儀式では神に捧げるための生け贄の心臓を置くのに使われていたとされる像です。
Chac-Moolとはユカタン地域のマヤ語で「偉大な赤いジャガー」を意味するとのこと。
そんなチャックくんも子供らの手にかかればこんな朗らかのどかな一枚となるのです。
完全に海で日光浴している様にしか見えない。
あまりにも気に入ったのでカード以外にもブックマーカーもお買い上げ。
うまく描こう!ほめられたい!という下心多かった子供時代の私には決して描くことができなかったこの類い。
そういえば大学のカフェテリアにいた時、たまたま隣にいた幼い姉妹の妹の方がA4用紙に色鉛筆で描いた絵を数枚持って私の所へ買ってくれとやって来た。これもまた意外にヒットだったのでオウムと妖精の絵2枚をお買い上げしたっけ。
この手の子供の芸術コレクションをするのもいいかもね。
2011年2月27日日曜日
2011年2月23日水曜日
フリーダ直筆の手紙も見れる!:オアハカ切手博物館 MUFI Museo de Filatelia de Oaxaca
わたしの母は学生時代に切手収集をしていたらしく、それが整理されたファイルが3冊ほど実家にある。
そういえば、小学生のときにそのファイルを眺めるのが好きだったな…
なんて記憶を思い出させてくれたのがオアハカにあるこの博物館:Museo de Filatelia de Oaxacaです。
科学技術がこれ以上どうにか発達しようとも、ポストに届く友人・知人や家族からの“手紙”の価値って絶対に変わらないし下がることはないのでしょうね。自分宛に書かれた言葉が時と距離を経てやって来ることは、無条件で人間の情緒に訴えるものがありますもの。
で、そんなお手紙やカードに添付された切手も、そんなロマンをかき立てる要素のひとつ。
メキシコ国内や世界中の切手、著名人の手紙、またはそれらにまつわるものを所蔵、展示している博物館です。
1月に訪れたときは、メキシコ独立と革命時代の切手と絵はがきなどの展示が行われていました。
↑オアハカ出身・初代メキシコ大統領:Benito Juaréz(右)と左の女性(おそらく歴史上重要な方)の顔を機織りしてるイラストがお気に入り。
敷地としてはそれほど広くないと思うのですが、小さな展示スペースが点在していたり、図書館やショップもすてきな雰囲気だしてます。しかし、とりわけ中庭がまたステキなことになっていた〜。奥にあった庭の周りにはオフィスの個人部屋がいくつかあったけど、こんな環境で仕事に従事できるなんて…芸術に関わる人間にとっては環境づくりも大切ってことですね。
以前紹介したCaSaやEl Pochoteもそうですけど、オアハカ中心地っていろんな側面(建築空間、グラフィックなど)から見てセンス良い(私的に好みという意味)文化施設がひと際多いです。しかもほとんど入館無料だったり。
あと、El Jolgorio CULTURAというオアハカ中心地の美術館や博物館やアートイベント情報などが載ったフリー小冊子が街のカフェや美術館などに置いてあって、これも情報収集にとても便利です(スペイン語のみだけど)。
Museo de Filatelia de Oaxaca
月曜休館 10:00-20:00 入館無料
2011年2月13日日曜日
メキシコ人類学・歴史学教養チャンネル INAH TV
http://www.youtube.com/user/INAHTV
メキシコ国立人類学・歴史学研究所、Youtubeでチャンネルを持っていたのですね。
試しに「Los Pueblos Indígenas Hoy」シリーズの「Arte y Artesanía」に人類学者(特に手工芸品)Marta Turokさんが出演してたので視聴してみました。
何だか不思議なセットをバックにMartaさんが進行するディスカッションの後半、話題はメキシコ手工芸の変化について。Martaさんがパネラーのひとりにcaracol purúpula:貝紫(染料となる液体が取れる貝)について質問すると、80年代に日本人グループがやって来て貝紫から染料を搾取しまくり、さらにその後貝を海に戻さず太陽のもとに投げっぱなしにしたことで貝紫が死に減り、当時の影響が今でも回復せず…貝紫はとても希少な生物となり、染料としても希少で高価なものになってしまったと。
Martaさんがこの件について憤慨しているという話を聞いたことがあったのですが、パネラーに質問を投げかけた際の彼女の口調からすると…やっぱりとっても怒っていますって雰囲気だった。
メキシコのある地域の生態系に、取り返しのつかない悪事をしてしまった日本人…
高尚な色とされているその紫に目がくらみ、周りが見えていなかったのでしょうね。
面目ないです…
2011年2月8日火曜日
ixtleを求めて〜マゲイの村へ潜入! San Andrés Deboxtha, Hidalgo
タイミングというのは突然にやってくるもので…
メキシコで見たいもの、そして見なければいけないもののひとつであるixtle:イシュトレ(マゲイ繊維の糸)の生産が行われている村を訪れることができたのです。
マゲイの地、またイシュトレの地としてValle de Mezquital: ヴァジェ・デ・メスキタルと呼ばれる一帯がイダルゴ州にあり、この土地にはHñahñu: ニャニュ(Otomí:オトミ)の人々が多く暮らしています。
“メキシコのシンボル”である植物:マゲイについて語り始めるとキリがないのですが、簡単に。
メキシコ全土、基本的にはどこにもかしこにも生えているマゲイとは「リュウゼツラン:竜舌蘭」のことです。Agave:アガベ科に属し、昨今ではテキーラの原料となる植物として有名です。が、『マゲイからはすべてが生まれる』と言われるほどにメキシコ、特にニャニュの人々にとってはむか〜しからこの植物が生活に欠かせない多種多様な素材として使用されてきました。
例えば、家屋の建材としてマゲイの肉厚な葉が使われたり…現在、サン・アンドレスでは倉庫として使用されている様子でしたが、おそらく別の村では住居として使用しているケースもあるのではないかしらと思います。
他にもPulque:プルケ(アルコール)、Aguamiel:アグアミエル(マゲイシロップ)、家畜のエサ、燃料としてなどなど…
でもってその葉からは強い繊維が抽出できるので、それを糸にして織機で織ったり編み物をするのです。そのマゲイ繊維から作った糸を“ixtle(イシュトレ)”と呼びます。
同行させてもらった長年この村で研究調査してる友人の経験知識と顔の広さのおかげで…今でもイシュトレ作り、またはイシュトレを使い制作している女性数名のもとを訪ねることができたのです。細かなプロセスなども見させてもらい、それはもう感激!やっぱり百問は一見にしかず、です。
そのプロセスは重労働にも関わらずもうけは割に合わない…ということもあり、続けて行くのもかなり大変かと。
現在は生活必需品というよりもArtesanía:民芸的な品としてイシュトレを使ったボデイスポンジ、ベルト、テーブルクロス、巾着などが制作され主にIxmiquilpan: イスミキルパンの市場や民芸品店などで販売されてます。
Pachuca:パチューカにあるCasa de las Artesanías HIDARTEにはかなりクオリティの高いいろいろな品が販売されていました。
村が一望できる小山頂上の礼拝堂でミサが行われるというので参加。ミサの内容は曖昧ですが、村人観察にエネルギーを注ぎます。しかし、実はそれと同じくらいに私自身も人々から視線を浴びていましたが…
最近まではイシュトレを織った布Ayate:アジャテで赤ん坊を背負ったり(背負うというかモノを運ぶときと同じ形態)、種蒔きや運搬用の袋としても使用されていました。
*画像の赤ん坊袋はアジャテではない
イシュトレ目的での滞在だったのですが、その目的を果たすとともに他にもさまざまな物事人に出会えた貴重な時間。
土地ひとつひとつに歴史があり、また人ひとりひとりに歴史があるのだなと実感したのであります。
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