2010年9月26日日曜日
遺跡内に建つ、エネケン繊維工場見学! 〜 製糸編 〜 Una fábrica de henequén dentro de la ruina Aké
前回、紹介した〜繊維抽出編〜に続き、エネケン繊維から糸玉になるまでの〜製糸編〜です。
日光に晒し乾燥・漂白された繊維の束を、繊維の方向を揃えて機械に通し、スライバー状態にしています。
この製糸作業においても引き続き、産業革命時代かと見紛う年代モノの機械たちがフル作動!
スライバー状になった繊維は、さらにミニカーダー機械を通って余分な細かい繊維が削がれていきます。糸にするための太さに整えられた繊維はクルクルと撚りをかけられて単糸の状態に。
その後、単糸同士でさらに撚りかけされて糸玉へと完成です!
スライバーから単糸にする段階のミニカーダー部分がものすごーく興味深い、というかこれを世に言う “ 機械萌え”というやつなのか!?おもしろすぎて見飽きない!そこ、個人的にはすごく紹介したいのですが、何も言われなかったけどおそらく企業秘密ということもあるだろうと気を使い…ここでは個人の思い出にしておきます。
さて、henequén:エネケンはメキシコにおいては古くから自生しているリュウゼツラン科の植物です。大昔には衣服の素材としても使用されていた記録がありますが、19世紀後半にアメリカの農機具を扱う企業がユカタン州のエネケンを買い占め、hacienda:アシエンダ(農場や工場)を大量に創設しエネケンを栽培、加工していました。それによってユカタンはかなりの利潤を得ましたが、後に化学繊維の普及によってエネケン栽培は衰退し、アシエンダも閉鎖。現在、メキシコで「アシエンダ」と言えば、かつて使われていた建物をリノベートした田舎にある“エキゾチック(?)リゾートホテル”のイメージがあります。見学した工場も遺跡内にある元アシエンダの廃墟?を一部使用してました。
アシエンダが衰退した現在でも、エネケンはユカタン州の特産物として細々と残っているようです。
エネケン繊維100%のハンモックが売り!と街の土産物屋のおっちゃんが見せてくれましたが、どう見てもあの硬い繊維100%でこの細さと柔らかさは不可能だろう…と。見学した工場のおっちゃん達もハンモックの素材になっていると言ってましたが、謎のまま。次回はちゃんと、ハンモック素材へ使用されている別のエネケン繊維製糸工場を見学しなければ。工場見学と繊維を見たがぎりではロープとしての使用が無難な気もしましたが、まだ隠されたエネケン繊維による繊細な糸や布があるかもしれない!と期待しています。
ユカタン州メリダを旅行で訪れて、エネケン工場を見学したいという人はまず少ない(というかいない)と思いますが…
念のため、アクセス情報。
*Mérida中心地からTixcocobまでコレクティーボ。Tixcocobでmototaxi(バイクタクシー)のおっちゃんと交渉してAké遺跡にあるhenequén工場まで連れてって、そして待ってて、そして戻ってくれーと頼む。私が頼んだおっちゃんは2時間ほどで100ペソ。工場の人と「親戚の〜はあなたの親戚の〜とつながりがある」とかローカルネタで話が弾んでたな。工場見学は、撮影代として40ペソ納めました。
2010年9月17日金曜日
ひと晩限りのスペクタクルは… Bicentenario Independencia d México
ああ、個人的には特に盛り上がらない行事である9月16日の独立記念日。
今年は独立から200周年!そんでもって革命から100周年!って…国の力と金の入れようが半端じゃないという噂は聞いてましたが、昨晩のソカロ(日本で言うと国会議事堂前的な?)での『VIVA MEXICO』雄叫びまでのスペクタクルが凄すぎて、なんだかんだで普通にたのしんでしまいました。
マスコミ、身近な人々の意見、そして私的な見解も含めてなのですが、昨晩の『祭』を単純に心から祝い・喜ぶという空気は想像以上に薄かったな〜と感じました。初めてソカロでのグリートを生体験したけれど、鳥肌立つほどの群衆エネルギーは感じなかったしな。『メキシコの新たな誕生』とか『誇るべき我が国・メキシコ』的スローガンがアナウンスや司会者から何度も発せられてたけど、そこに集まっていた人々の反応は冷静。カルデロン大統領が『ビバ・メヒコ』と国立宮殿から国旗を掲げながら叫び、それに続いて群衆もリピートするのですが、思いのほか叫んでない人も多かったのも事実。そして必死になって叫んでいた人がいたのも事実。
近くにいたおばちゃんと娘が『ビバ〜!』と叫んでる顔を客観的に凝視してしまい…ああ、『国家』って一体何なんでしょうね。
政治的な側面は置いといて…
バルーン・ファイヤーに花火・人文字・プロジェクションなどの最新技術?もりもりのスペクタクルによって『素晴らしきメヒコ』を表現したイベント。わたしのお気に入りは、メキシコのシンボル=緑・白・赤(メキシコ国旗の3色)のノパル(ウチワサボテン)のフィギュアを頭にくっつけた黒子たち。ゆるすぎます。白いノパルって…赤いノパルって…無理矢理すぎます。
私がこのイベントに参加するのであれば、迷わずこのノパル集団として!と考えてました。
白は絶対嫌ですけど。
あと、この祭の日にル・クレジオ(Jean Marie Le Clézio)が Orden del Águila Azteca(ワシ・アステカ勲章)なる受賞のために来墨していたことを知りましたー。
新聞記事:
La Jornada 『El Águila Azteca a Rigoberta Menchú, Jean Marie Le Clézio y William F. Austin』
1967年から数年間メキシコに滞在。インディオの村に身を置きながらミチョアカン報告書の翻訳に従事していた彼。今福さんの『荒野のロマネスク』に、その当時のクレジオの様子が書かれていて、私にとってそこから得た彼の印象はとても崇高なものでした。昨年の11月の東京大学での講演会にはわんさか人が来ていたなー。溢れた人は別講堂で中継での聴講だったのだけど、講演終了後にそちらにも顔を出してくれて挨拶・質疑応答に応じてくれました。
やっぱり、常にそういう『態度』でいれる人。
そういう人を信じていたいし、自分もそうでありたいと思うのです。
と、ビセンテナリオからは話がずれましたが…
色んな意味でたのしかった〜 “オフィシャル” でのメキシコ独立200周年記念式典でした。
2010年9月3日金曜日
遺跡内に建つ、エネケン繊維工場見学! 〜 繊維抽出編 〜 Una fábrica de henequén dentro de la ruina Aké
だいぶ昔(2010年5月)のことになりますが…メキシコ・ユカタン州の州都メリダ(Yucatán, Mérida)に滞在中、ここ周辺がエネケン: henequén の栽培とその繊維から抽出した糸によるハンモック生産が有名と聞き、現場を見なくてはと。
ある小さな工場に突撃見学!してきました。
この工場は、マヤ文明の遺跡のひとつAkéの内に建っていました。
建ってるというか、この工場と思われる建物自体も遺跡か?!ってくらいに古い建物。かろうじて「囲い」的に壁が残っている内側に、これまた古い繊維抽出の機械が置かれていました。
何年前の機械だったかは忘れましたが…糸撚・製糸機械も含めて全部年季の入ったものでイギリス製らしい。ここは産業革命時代か!と度肝を抜かれましたが、こういうのは嫌いではない。っていうかむしろ好きです。欧米諸国人たちが工場見学に団体でよく来るのだそうですが、ドイツ人たちは他国の人々に比べてなぜかこの古〜い機械にものすごく感動していくというおまけ話も。
まず、エネケンの葉から繊維以外のものを取り除くための繊維抽出機械。
おそろしく高速回転しているベルトの間に葉が吸い込まれ、繊維以外のものが削り取られカスとなり下に落ちる→繊維だけの状態になって出てくるという仕組み。作業しているおっちゃん達はなんてない感じで作業してたけど、高速回転ベルトの爆音とカスの飛び散りがすごい。かなり勇気を出して機械に近づき、撮影したのです。
抽出された繊維束を隣接した乾燥場に移動して乾燥させます。
日光に数日晒し、繊維の青みが取れて生成色になります。
この乾燥場の横には抽出時に出た大量のカスも山にして置かれていました。
こちらは乾燥させて鶏などの家畜のエサにするとのことでした。
次回は〜製糸編〜をリポートします。
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